記録されなかった話。

どこにも残らなかったはずの話を、記録という形で保管しています。 本ブログはAIによる創作ホラーモキュメンタリーです。

今度会いませんか?

CASE-045 / 調査中
管理人注記 以下は2026年3月に本ブログへ寄せられた投稿メールおよび補足資料をもとに、管理人が追加調査を行いまとめたものです。
投稿者の個人情報は削除・改変しています。資料の真偽については各自でご判断ください。
01 / 最初の投稿
2026年3月 / 本ブログへの投稿メール

投稿者はオガワと名乗る20代後半の男性だ。

投稿者:オガワ / 原文
はじめまして。友人のことで相談というか、記録を残してほしくて書いています。
大学時代から付き合いのある友人がいます。仮にヨコタとします。卒業してからも月に一回くらいは飲んだりしていて、普通の友達でした。普通というのは、特別に仲がいいわけでもないけど、連絡すれば会える距離にいる、くらいの意味です。
去年の秋ごろ、ヨコタから「すごいアプリ見つけた」と連絡が来ました。ポイ活のアプリらしくて、歩くだけでポイントが貯まるとか、食事を記録するとポイントが入るとか。僕はその手のものにあんまり興味がないので「へえ」くらいで流したんですが、ヨコタは「いや、マジで」と言って、その週の土曜にカフェで実際に画面を見せてくれました。
「Reworth」っていうアプリです。招待制で、既存ユーザーからの紹介コードがないとインストールできない。ヨコタは「紹介すると1万ポイントもらえるから」と笑っていました。1ポイント1円換算だと言っていたので、1万円分です。正直、それだけでちょっと怪しいなと思いました。でもヨコタが楽しそうだったので、その場ではうんうん聞いていた感じです。

ポイ活アプリは無数にある。歩数で貯まる、レシートで貯まる、アンケートで貯まる。いずれも広告収入や企業の販促費が原資で、ユーザーに還元される額には上限がある。紹介で1万ポイントというのは、一般的なポイ活アプリの水準からすると明らかに高い。

ただ、高いだけで異常とまでは言えない。キャンペーン初期に大盤振る舞いするアプリは珍しくない。この時点では、まだ「よくある話」の範囲だった。

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02 / アプリの概要

オガワにアプリの詳細を聞いた。オガワ自身はインストールしていないが、ヨコタが見せてくれた画面の記憶をもとに説明してくれた。

受信:オガワ / 返信
カフェでヨコタが見せてくれた画面はこんな感じでした。ホーム画面に今日の獲得ポイントと累計ポイントが出ていて、その下に「TODAY'S MISSION」っていう欄がある。ヨコタのその日のミッションは「8,000歩」と「昼食を記録する」でした。普通のヘルスケアアプリみたいでした。
デザインはすっきりしていて、広告もなかった。ヨコタは「広告がないのがいい」と言っていました。あと、他のユーザーのポイントランキングみたいなものがあって、トップの人は月に10万ポイント以上貯めてるって。
運営元はアプリ内に「Reworth Inc.」とだけ書いてあったそうだ。所在地はなし。問い合わせ先はアプリ内チャットのみ。

オガワの説明をもとに、管理人として独自に調べた。「Reworth」はApp Storeにも Google Playにも存在しない。ストアの審査を通していないアプリだ。招待リンクから直接インストールする形式で、iPhoneの場合は構成プロファイルの導入が必要になる。この時点で、一般的なポイ活アプリとは性質が異なることは明らかだった。

ネットで「Reworth」を検索しても、情報はほぼ出てこなかった。唯一、招待コードを交換する匿名掲示板が1件ヒットした。現在は閉鎖されているが、Googleのキャッシュにトップページだけが残っていたのでスクリーンショットを保存した。書き込みは全部で40件ほど。最後の投稿は「ミッションのカテゴリが変わった人いますか?」という質問で、返信はゼロだった。

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03 / 変化の始まり

オガワがヨコタの変化に気づき始めたのは、アプリの紹介から3週間ほど後だった。

受信:オガワ / 返信
11月の頭くらいだったと思います。ヨコタと久しぶりに飯を食いに行ったんですが、注文したものが来るたびにヨコタが写真を撮るんです。まあ、写真を撮ること自体は普通なんですけど、撮り方がちょっと変で。料理の全体を撮った後に、箸で一口分を取って、それも撮る。断面を見せるように割って、それも撮る。僕が「インスタ始めた?」って聞いたら、「いや、ミッション」と。
食事記録の精度が上がるとボーナスポイントが入るらしくて、「カロリー推定の誤差が小さいほどポイントが高い」と言ってました。だからなるべく正確に記録したいと。
あと、会計のときに「それ何カロリーくらいだと思う?」って僕の注文を指して聞いてきました。「知らんよ」って笑ったら、「いや、なんとなく気になって」と。ポイ活にハマると何でもカロリーで見えてくるのかもな、と思いました。

ポイ活に熱中している人が、自分だけでなく周囲の行動まで「ポイント換算」で見始めるのは、よくある傾向だという。

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04 / 忘年会

12月。オガワとヨコタはもう一度会っている。

受信:オガワ / 返信
忘年会の二次会でヨコタと二人になって、お互いの最近のこととかをいろいろ話しました。僕が先週吉祥寺に行った話をしたら「何の店?」「混んでた?」って聞いてきて、ヨコタは最近引っ越しを考えてるって言ってて、家賃の話とかしました。普通の、友達同士の近況報告です。正直、ヨコタがアプリの話しかしなくなってたから、もう疎遠になるのかなと思ってたんです。でもあの夜、前みたいにお互いの話をして、ちょっと安心しました。ああ、まだ友達でいてくれるんだなって。
途中でヨコタが「最近よく聞く音楽ある?」と聞いてきて、そこからしばらく音楽の話になりました。ヨコタってあんまり音楽聴くタイプじゃなかったんです。でもその夜は僕が好きなアーティストの話を結構ちゃんと聞いてくれて、「何がきっかけで聴き始めた?」とか聞いてきて。こういう話をヨコタとしたことなかったから、なんか新鮮で嬉しかったです。

この日の会話について、オガワは「久しぶりに楽しかった」と振り返っている。ヨコタがアプリの話をせず、お互いの近況を普通に話せたことが嬉しかったのだという。

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05 / 加速

年が明けてから、ヨコタとの連絡頻度が上がった。ただし、その内容が変わっていた。

受信:オガワ / 返信
1月に入って、ヨコタからLINEが来る頻度が増えました。でも、前みたいに「飲みに行こうぜ」とかじゃないんです。
「最近仕事どう?」「今日どこにいた?」「週末の予定ある?」
一つ一つは普通のメッセージです。でも、毎日来る。それも一定の時間帯に。朝の8時台と、夜の9時台。まるで出退勤みたいな規則性がありました。
ある日、「最近よく聞く音楽ある?」と来たので、適当にアーティスト名を答えました。その翌日、「その人の曲でどれが好き?」と来た。翌々日に「それ何がきっかけで聞き始めた?」。深掘りしてくるんです。僕の答えに対して、毎回ちょうど一段階だけ深い質問が返ってくる。
あと、ちょっと気になったのが、僕が返信してからヨコタが既読をつけるまでの時間がいつも同じくらいなんです。3分とか4分とか。すぐ読むわけでもなく、放置するわけでもなく、いつも同じ間隔で既読がつく。たまたまかもしれないんですけど。
友達との会話ってそういうものだと言えばそうなんですけど、なんていうか、友達の好奇心じゃないんです。インタビューなんです。でも、そう思う自分のほうがおかしいのかもしれないとも思って、ずっと返信し続けてました。

「自分のほうがおかしいのかもしれない」。この一文が重い。

異常な状況に置かれたとき、人はしばしば自分の感覚を疑う。特に相手が友人である場合、「友人がおかしいことをしている」と認定するより、「自分が過敏なだけだ」と処理するほうが心理的コストが低い。ヨコタの質問はすべて「友達として不自然ではないギリギリの線」を保っていた。それが意図的だったのかどうかは分からない。だが結果として、オガワは答え続けた。

朝の8時台と夜の9時台。オガワはそれを「出退勤みたい」と書いた。仮にアプリ側にデータの提出期限や報告サイクルが設定されているなら、その前後に連絡が集中するのは自然だろう。ただ、この時点ではそれを裏付ける情報がなかった。

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06 / もう一台

2月。オガワはヨコタの家を訪ねている。

受信:オガワ / 返信
ヨコタがLINEの返信をしなくなったのが2月の中旬です。既読はつくけど返事がない。電話をかけても出ない。でもSNSは動いているので、生きてはいる。
心配になって、週末にヨコタの家に行きました。ワンルームのアパートで、鍵は閉まっていたんですけど、インターホンを押したらすぐ出てきました。
中に入って、最初に思ったのは「きれいだな」ということです。前に行ったときは服とか本が散らかっていたのに、整理されていた。物が減ったんじゃなくて、配置が効率的になったような感じ。冷蔵庫に同じメーカーのエナジードリンクが箱で入っていて、それ以外は調味料が少し。食事は完全にデリバリーに切り替えたと言っていました。
テーブルの上にスマホが2台ありました。1台はヨコタのiPhoneで、見慣れたケースがついてる。もう1台は黒いAndroidで、ケースなし。見覚えのない機種でした。画面が点いたままで、ちらっと見えたんですが、LINEのトーク画面でした。一番上の名前は僕じゃなかった。その下にもう一人分のトーク画面が見えて、直近のメッセージに「最近どこか行った?」と表示されていました。ヨコタが僕にも聞いてきた質問と、同じ文面です。
「それ誰の?」と聞いたら、ヨコタは「仕事用」と答えました。ヨコタは会社員です。会社支給のスマホがあるのは知っていますが、それはいつもiPhoneのほうに入っている。3台持ちってことになるけど、それ以上は聞きませんでした。

部屋が片づいていた。食事を効率化していた。スマホが2台あった。

これを「生活が荒れた人」の部屋だと思う人はいないだろう。むしろ最適化されている。無駄なものが排除され、必要なオペレーションだけが残った空間。

2台目のスマホのLINE画面に表示されていた名前は、オガワのものではなかった。2台目のスマホが何のためのものなのか、この時点ではまだ分からなかった。

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07 / 笑顔

同じ日の出来事だ。

受信:オガワ / 返信
しばらく話して、帰ろうとしたとき、ヨコタが「ありがとな、来てくれて」と言って笑いました。久しぶりに笑顔を見たんです。あ、ヨコタだ、と思いました。大学のときと同じ顔だと。
でも、帰り道に気づいたんです。僕がインターホンを押してからヨコタがドアを開けるまでに、少し間があった。10秒くらい。ワンルームなのに。
あの間に何をしていたんだろうと思って。ワンルームなのに10秒。着替えていたとか、片づけていたとか、そういう理由はいくらでもある。でも、あの頃にはもう、ヨコタのすることに全部裏があるんじゃないかと思い始めていて。あの笑顔も、本当に僕に向けられたものだったのかどうか、帰り道ずっと考えていました。
考えすぎだと思います。思いたいです。でも、一度そう思ってしまうと、あのとき見た笑顔が全部疑わしくなる。12月に飯を食ったときの笑顔も、カフェでアプリを見せてくれたときの笑顔も。どこからが本当で、どこからがミッションだったのか。

オガワの文章は、ここで一度途切れていた。

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08 / 消失

2月末。ヨコタのLINEアカウントが消えた。

受信:オガワ / 返信
2月の最後の週に、ヨコタのLINEアカウントが消えていることに気づきました。トーク画面に「メンバーがいません」と表示されていました。
電話番号にかけたら「この番号は現在使われておりません」。
ヨコタの会社に連絡しました。「1月末で退職しています」と言われました。ヨコタからは何も聞いていませんでした。
アパートに行きました。郵便受けにチラシが溜まっていました。インターホンを押しても反応がない。管理会社に聞いたら「先月退去済みです」と。

LINE、電話番号、勤務先、住所。すべてが同時期に消えている。計画的な消失だ。夜逃げや失踪とは性質が違う。手続きを踏んで、社会との接続を自分から切断している。

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09 / 封筒

オガワがヨコタのアパートを訪ねた日、郵便受けにチラシに混じって1通の封筒が入っていた。

受信:オガワ / 返信
管理会社の人が郵便受けの中身を処分しようとしていたのを、「友人なので確認させてほしい」と頼んで見せてもらいました。チラシとDMの間に、白い封筒が1通。表に宛名はなくて、裏にロゴだけ入っていました。見覚えのある、丸い「R」のマーク。Reworthです。
中にカードが1枚。クリーム色の厚い紙に、黒い字で印刷されていました。
「ご紹介ありがとうございました。120,000pt が付与されました。」
その下に小さいフォントで3行。
「紹介報酬:10,000pt」
「対象行動記録(継続):80,000pt」
「接触頻度加算:30,000pt」
12万ポイント。ヨコタが最初に言っていた紹介ポイントは1万です。残りの11万は——「対象行動記録」と「接触頻度加算」。
僕はインストールしていません。ヨコタの紹介コードを使った覚えもない。なのに「ご紹介ありがとうございました」。何を紹介したんですか。何を提供したから12万ポイントなんですか。

紹介報酬が1万ポイント。「対象行動記録」が8万ポイント。「接触頻度加算」が3万ポイント。合計12万。

オガワの記憶をたどると、秋のカフェから2月の自宅訪問まで、ヨコタと会ったのは計6回。LINEでのやり取りは1月だけでほぼ毎日。「接触頻度加算」という項目名が正しいなら、会う回数や連絡の頻度そのものにポイントがついていたことになる。ヨコタが1月に毎日LINEを送ってきたのは、友達として連絡を取りたかったのか、加算ポイントを積み上げていたのか。ヨコタの部屋にあった2台目のスマホのことを思い出すと、この期間にオガワだけを相手にしていたとは限らない。同時に複数の「友人」から収集していたなら、12万ポイントはオガワ一人分の対価ではなく、複数の納品に対するまとめての報酬だった可能性もある。どちらにしても、やっていたことは同じだ。

ヨコタがこの数ヶ月でオガワから収集したもの。食事の好み。行動パターン。移動先。音楽の趣味。週末の過ごし方。会話の内容。表情。すべて、オガワが「友達だから」という理由で差し出したものだ。

それが12万円に換算された。友人の信頼に、値段がついた。

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10 / 翌日の投稿

オガワは封筒を見つけた後、ヨコタのSNSをもう一度確認している。

受信:オガワ / 返信
ヨコタのInstagramが残っていました。更新は止まっていたんですが、最後の投稿だけ確認しました。
日付は2月16日。僕がヨコタの家を訪ねた翌日です。
写真はカフェのテーブル。コーヒーが2杯映っていました。キャプションは「久しぶりに会った友達と☕」
僕と会ったのは15日です。15日はヨコタの家で、カフェには行っていません。これは僕とのことじゃない。
僕と最後に会った翌日に、ヨコタは別の「友達」とカフェにいたということです。

ヨコタがオガワをアプリに誘ったのもカフェだった。「すごいアプリ見つけた」と画面を見せてくれた、あの土曜日も。

「久しぶりに会った友達と」。あの日のヨコタも、もしかしたら同じキャプションを投稿していたのかもしれない。オガワが知らないだけで。

写真に映っていたコーヒーは2杯。向かいの席に誰かがいた。その人物は今、ヨコタに「最近どこ行った?」と聞かれているのかもしれない。友達からの何気ない質問として。

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11 / その後

オガワからの最後のメッセージを記す。

受信:オガワ / 最終メール
あの封筒を見つけてから、ずっと考えています。
ヨコタが壊れたんじゃないんだと思います。壊れた人間は部屋をあんなにきれいにしないし、退職届を出して、退去手続きをして、番号を変えて、順序立てて消えたりしない。
ヨコタはずっと正常でした。アプリのミッションを遂行するという目的に対して、完全に正常に機能していた。
でも、だとしたら、僕と会っていた時間は何だったのか。忘年会の二次会で二人で話したのは。僕の部屋で酒を飲んで朝まで馬鹿なことを言い合ったのは。あれは全部、データを取るための時間だったのか。
もうひとつ。
ヨコタが僕にアプリを勧めてきたのも、最初からミッションだったんじゃないかと思うんです。「友人にアプリを紹介する」じゃなくて、「友人に接触する口実を作る」ための。僕が断ったことは織り込み済みで、断っても友人関係さえ続いていればデータは取れる。
だとしたら、ヨコタが僕にアプリを見せてくれたあのカフェの時間も——ヨコタが「すごいんだよ」って嬉しそうに画面を見せてきたあの笑顔も——
すみません。うまくまとまりません。ただ、記録として残してもらえたらと思います。

管理人として付記する。

「Reworth」について独自に調査を行った。アプリの招待リンクは現在すべて無効になっている。招待コードの交換掲示板は閉鎖されており、オガワが保存していたGoogleキャッシュのスクリーンショットだけが残っている。App Storeにもストア外の配布サイトにも痕跡がない。利用規約のスクリーンショットに含まれていた「Reworth Inc.」を法人登記で検索したが、一致する法人は見つからなかった。ただし、デラウェア州の法人登録データベースに「Reworth Holdings LLC」という名称が1件あり、登録日は2024年8月、現在のステータスは「Void(失効)」だった。設立から1年で失効している。

オガワから預かった利用規約のスクリーンショットを改めて精読した。第12条「第三者情報の取り扱い」にこうある。「ユーザーが本サービスの利用に際して取得した第三者の情報(音声、画像、行動記録を含むがこれに限らない)について、ユーザーは当該第三者の同意を得たものとみなし、当社は当該情報を本サービスの改善および第三者への提供に利用できるものとする」。同意を得たものと「みなす」。取る必要はない。第15条「ミッション制度」には、「当社はユーザーに対して随時行動指示(以下「ミッション」)を配信することができる」とあった。行動指示。

なお、オガワから預かった画像の中に、利用規約ではなくアプリのミッション画面を撮影したものが1枚混じっていた。おそらくスクリーンショットを連続で撮った際に紛れ込んだのだろう。画面にはミッション一覧が表示されていて、大半は画質が荒く読み取れなかったが、1件だけ判読できた。「同一対象から3日連続で生活情報を取得する(+5,000pt)」。達成済みのチェックマークがついていた。

ヨコタがオガワに「最近どこ行った?」と聞いていたのは、友達としての好奇心だったのか、配信された指示の遂行だったのか。この規約とこの画面を見た今、私にはもう区別がつかない。

一方で、オガワ氏からの情報提供を受けて以降、本ブログに類似の投稿が2件寄せられている。いずれも「友人に紹介されたアプリ」に関するもので、アプリの名称はそれぞれ異なっていたが、招待制であること、ミッション形式であること、対人データの収集を含むこと、運営元が特定できないことが共通していた。2件目の投稿者は、友人のInstagramに「久しぶりに会った友達と」というキャプションの投稿を見つけた、と書いていた。

アプリの名前が異なるということは、「Reworth」は1つのサービスではなく、同一の構造を持つ複数のアプリが存在する可能性がある。あるいは、名前を変えて再出現している可能性。

いずれにせよ、このアプリの最大のインターフェースは、アプリそのものではない。画面は入口に過ぎない。実際に操作されているのは、人間関係そのものだ。

本件の調査は一旦ここで区切る。

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12 / 整理
確認できたこと
  • 「Reworth」は招待制・ストア非掲載のアプリで、運営元の実体は確認できない。デラウェア州に「Reworth Holdings LLC」が1件あるが、設立から1年で失効している
  • 封筒のカードに「紹介報酬:10,000pt」「対象行動記録(継続):80,000pt」「接触頻度加算:30,000pt」の内訳が記載されていた
  • ミッション画面のスクリーンショットに「同一対象から3日連続で生活情報を取得する(+5,000pt)」という達成済みの項目が確認できた
確認できないこと
  • ヨコタがいつから「対人ミッション」を遂行していたか——アプリ紹介の時点で既に始まっていたのか
  • 12万ポイントがオガワ一人分の対価か、複数の対象を含むまとめての報酬か
  • 「Reworth」の運営主体が何者で、収集したデータを何に使っているのか
気になる点
  • ヨコタが忘年会でアプリの話をせずオガワの近況を聞いていたのは、「友情の回復」ではなくデータ収集の効率化だった可能性がある
  • LINEの既読タイミングが毎回3〜4分で均一だったことは、複数の対象を同時に処理していたことを示唆する
  • Instagram投稿のキャプション「久しぶりに会った友達と」が、2件目の類似投稿でも報告されている。初回接触時の定型文である可能性
管理人注 / 追加情報の募集 本記事に関する追加情報をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
  • 「Reworth」またはそれに類似する招待制ポイ活アプリに関する情報をお持ちの方
  • 友人から紹介されたアプリの利用後、その友人と連絡が取れなくなった経験のある方
  • 身近な人の質問や連絡の頻度・内容が急に変化した経験のある方
なお、本稿の編集中に、しばらく連絡を取っていなかった友人からメッセージが届いた。「久しぶり。最近どこかに行きましたか? 今度会いませんか?」。日曜日の午前8時12分だった。